最近、『ひとを〈嫌う〉ということ』(中島義道著)という本を読んで、人を嫌うこと、人から嫌われることを重視しない価値観を知り、衝撃を受けました。
人から嫌われるのを恐れる人にとって、「嫌う・嫌われるのは自然な心理」という価値観を知るだけでも救われる気がします。
日本の教育では、「友達は多いほうがいい」「皆と仲良くすることが大事」「喧嘩は良くない」などの価値観を蔓延させていますが、それだと人間関係がしんどくなるのでは?というのが著者の主張です。
また、「好き」という感情に対しては興味関心を持つ人が多く、研究も進んでいるのに、「嫌い」という感情に対してはそうならない状況は不自然、とも指摘しています。
確かに、そう言われてみると「嫌い」という感情も「好き」という感情と同様、自然な感情です。
生活上支障が出るような嫌い方は困りますが、何となく自然に嫌い合うことは自然なことで、抑える必要のある感情ではない、という筆者の考えには救われるものがありました。
自分が全ての人を好きになれないのと同様、誰かから嫌われるのは当然のことなのですが、多くの日本人はその事実が受け入れられず、自分では他人を簡単に嫌っておきながら、自分が嫌われることには過剰反応します。
自己肯定感が低いからかもしれません…
もちろん、世の中には嫌われることを気にしない人もいますが、多くの人はなるべく嫌われたくないと思っています。
そんな中で、「好き・好かれるだけが人生ではなく、嫌う・嫌われるも人生であり、それによっても豊かで味わい深い人生が送れる」という著者の価値観には、ちょっと衝撃を受けました。
とはいえ個人的には、嫌いな人や物に接すると不快で疲れるので、できるだけ避けて暮らしたいですが…
著者のような境地に達するには、まだまだ修行や鍛錬が足りないのだろうと思いますが、新しい価値観を知れて嬉しい本でした。