カープ緒方監督の器―黒田が復帰した理由

「黒田と新井がカープに復帰したのは、緒方監督が就任することが決まったから。」

カープの内部事情を知る人は、黒田と新井さんが同時に戻ってきた真の理由をこう話します。

前監督退任のタイミング

特に、黒田がカープに復帰するには、緒方の監督就任が欠かせませんでした。

緒方の監督就任が決まる前、野村謙二郎監督がCS中にいきなり退任会見を行ったことからも、それは明らかです。

ファンの多くは「何で今発表するの!?」と思ったことでしょう。

しかし、野村前監督がそのタイミングで退任会見を行わなければならなかったのには、それなりの理由がありました。それは黒田をカープに復帰させるためです。

「野村は辞める。だからカープに帰ってきてくれ。」という、球団関係者から黒田へ、強いメッセージを送る必要があったのです。

復帰できない理由があった

その数年前にも野村前監督は、アメリカにいる黒田のもとへ球団関係者とともに頭を下げに行っています。

「どうかカープに戻ってきてくれ。」と。

しかし、黒田は戻りませんでした。

なぜなら、渡米前のカープ時代に若手に幅を利かせていた野村謙二郎や前田智徳の根性論に、嫌悪感を抱いていたからです。

自分に厳しいだけでなく、後輩にはさらに厳しくしごく人がいるチームで、自分たちの理想の野球ができるわけがない、そう思ったに違いありません。

実際に球団オーナーの大のお気に入りである前田は2013年に引退したので、残りは野村だけという状態だったのも影響しているでしょう。

新井とともに勝てない時代のカープを率いていた黒田にとって、自分たちの理想の野球ができる環境になるまでは、どうしてもカープに戻りたくなかったのです。

とはいえ、それはチームの中での話で、引退した現在では野村や前田とも交流しています。

黒田が目指す野球ができる監督

黒田にとって逆指名までして入団したカープに恩を返すためには、カープに復帰して力を発揮し、優勝する以外なかった。

名もない時から自分を見出してくれたカープという球団に対して、何としてでも恩返しをしたい。でも、今帰ってもあの頃と同じようになってしまうのではないか?

そうした思いがメジャーに移籍以降、毎年毎年募っていたようです。

しかし、黒田のカープ復帰は緒方が監督に就任することが決まった瞬間から、つまり野村前監督の退任が決まった瞬間から、現実的に動き始めることになります。

選手に注目させる器

ちょうどその頃、新井さんも広島へ帰ろうか迷っており、黒田は新井さんから古巣に帰ってよいかの相談を受けていました。

そして黒田が「お前なら大丈夫。気にせず帰れ。」と新井さんに助言した通り、新井さんはカープへの復帰を決めます。

その後、復帰を悩んでいる黒田に、今度は新井さんから「今度は黒田さんの番ですよ」と背中を押されます。黒田がカープ復帰へと大きく気持ちが傾く瞬間でした。

結果、黒田は推定年棒21億円というメジャーの球団からの提示を断り、4億円提示のカープへ復帰することを決めます。

復帰会見ではこれでもかと言わんばかりの報道陣が空港に集まり、黒田の復帰に対する注目度の高さを物語っていました。

名コーチに任せられる器

ところで、緒方監督の凄さはあまり語られませんが、優秀なコーチ陣を適材適所に配置し、能力を存分に発揮させている現状を見れば、非常に優秀な監督といえるのではないでしょうか?

多くの戦略もコーチにほぼ任せているようです。任せているというと誤解されるかもしれませんが、「責任は自分が取るからコーチに任せる」というのは、出来るようななかなかできないことだと思います。

いかにコーチ陣の能力を信頼しているか、の表れといえるでしょう。同時に、そんな優秀なコーチを招聘できるのは、緒方監督の器によるものではないでしょうか?

”自分の器以上の人は雇えない”

緒方は社長ではありませんが、緒方とソリが合わなければ優秀なコーチも続々と辞めていくはずです。緒方は優秀な人材をまとめられる、器の大きい人といえるではないでしょうか?

各選手の心を掌握できる器

また、自分が悪く言われようとも、チームや選手を守るために盾になる、という意識が強い監督でもあるといえます。

例えば審判のおかしな判定の際には、俊足を生かした強烈な抗議に出ます。

選手が全力・必死でプレーしているからこそ、監督として全力・必死で選手を守る必要がある、と考えているようです。

とはいえ、抗議すれば審判に悪く思われそうだし(現にビビられてるし)、他球団や他球団ファンから悪く思われそうだし(現にかなり叩かれてるし)、判定が覆らなければ監督自身ただ疲れるだけです。

でも緒方は気にしません。「その判定はおかしい」と思ったら迷わず突撃します。

背中で見せるタイプの監督

緒方は現役時代からイケメンで盗塁王などのタイトルを取っていたにも関わらず、「自分が自分が」というタイプではありませんでした。

しかしながら選手時代から誰よりも練習し、後輩には背中で見せるタイプの選手であったためか、後輩に嫌われている印象はありません。

そんな緒方に対して、黒田も新井さんも悪いイメージはないようで、2016年キャンプ時には積極的に傍に寄っていったようです。

また緒方の方も「カープに特別な思い」を抱いている人間なので、黒田と新井さんに対しては悪いイメージはなく、むしろ非常に良く思っていた感があります。

緒方なくして優勝なし

そんな緒方だからこそ、黒田と新井さんの復帰を実現させ、また優秀なコーチ陣を置き、個性豊かな選手を使い、昨シーズン25年ぶりのリーグ優勝を導けたのでしょう。

緒方は全くといって良いほどメディアで語らないため詳細は不明なことが多く、のちに奥様が語ってようやく真相が分かるという感じです(笑)

緒方の、監督としての素質を疑問視する声もあるようですが、緒方がいなければ黒田と新井さんの復帰、優秀なコーチ陣の集結はなく、さらに各人の能力発揮もなかったといえるでしょう。

今年33年ぶりの日本一に向けて、開幕戦から死闘のような試合を繰り広げていますが、昨シーズン日本シリーズで味わった悔しさを晴らすため、今シーズンは監督としての采配が更に問われることになりそうです。

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